まこも利用法

食品としてのまこも

まこもは広く東アジアの冷・温帯に分布し、中国では「菰」と呼ばれ、台湾では現在も栽培され、まこもの若芽料理などは強精強壮食として日常的に食べられています。日本では薬膳料理にも使われることもあります。

また、秋に茎が肥大しマコモタケと呼ばれるものができることがありますが、内部には白い髄組織が詰まっていて非常に軟らかく、シャキシャキとした独特の食感があります。このマコモタケは、中華料理の高級食材として扱われ、油炒め、スープ、塩味炒め、蒸し物など幅広く使われ、和食では、味噌和えや天ぷら、フライ、炊込みご飯、サラダ、煮込み、春巻き、味噌汁などにするとおいしくいただけます。

よく「五穀」と言われますが、米よりもはるかに古い穀物として栽培されていたまこもを入れて、古代では「六穀」だったと言われています。また、北米などでは真菰の実をワイルドライスと言い、代表的な料理で野鳥のお腹に詰めたものがあります。


真菰を使った水質浄化

まこもは水質浄化の働きがあり、霞ヶ浦や琵琶湖を始め、ラムサール条約に指定されている伊豆沼・内沼(宮城県)などでまこもを使った水質浄化事業が行われています。
また、まこもの柔らかい芽や茎の回りは餌場として、産卵場所として、そして隠れ場所としていろいろな水棲生物が集まります。冬になれば白鳥などの水鳥がまこもの肥大した根を餌としてついばみます。
まこもはこのように、優れた浄化植物の1つであると同時に、多くの生物に対して優れた生息環境を作ってくれ、生態系の潤滑油のような役割も果たしているのです。最近では、環境破壊が進み、湖、沼や河川の生態系が次第に崩れ、また、河川や田んぼなどの水路はコンクリートなどで覆われ、年々まこもが減少しつつあります。


古くから使われていたまこも

まこもは神話時代からその実在が知られており、最古の書物「古事記」や「日本書紀」「万葉集」などにも見つけることができます。
日本では今も神仏に供せられるケースがよく見かけられます。東京の神田明神をはじめ、千葉の香取神社、埼玉の氷川神社、大分の宇佐神宮、島根の出雲大社など、多くの神社に神事として残っています。
まこもと日本人のかかわりは神事だけではありません。仏事にも大きくかかわりがあるのです。お釈迦様がまこもで編んだむしろ(寝床)に病人を寝かせて治療されたという仏話があり、これが日本に伝わり、お盆にまこもで編んだ「盆ござ」や「盆舟」を奉げるようになったと云われております。


まこもの用途

・神事用   茅の輪(茎葉)、しめ縄(茎葉)。

・宗教用   盆ござ(茎葉)、カヤカヤ馬(茎葉)、精霊舟(茎葉)。

・包装用   チマオグサ(葉)、ようかん(葉)。

・敷物用   ムシロ(茎葉)。

・食 用   芽(菰菜)、マコモタケ(肥大茎)、実(菰米・ 種実)。

・被服用   日のみ(茎葉)、雨のみ(茎葉)。

・肥料用   緑餌(茎葉)。

・飼料用   緑餌(茎葉)。

・飲料用   マコモ(葉)。